大多数の方が接種することによって発症する人が少なくなり、その結果ヒトからヒトにうつす可能性が低くなります。また、すでに体内に抗体(攻撃力)を持つようになるのでかかっても重症化しづらくなります。
例えば天然痘は紀元前より非常に高い死亡率のウイルス性疾患でした。現在はWHOにより根絶宣言が出されていますが、そこに至ったのは近年ワクチンが開発され多くの方が予防接種を行ったおかげです。現在様々な病気やガンに対するワクチンが開発されていますが、ワクチンの有効性は実際に接種されるヒトの数に左右されます。自分がかからなければ、大事な家族や友人にもうつす心配はありません、もしかかった場合重症化を防げます。ただし、副作用がゼロでは無いので接種する場合は個人のリスクと全体のリスクを考えて接種してください。
・新型コロナウイルスワクチンの副作用について
ワクチンの開発と安全性評価には通常10年以上必要と言われています。
現時点で安全性に対する評価がまだまだ揃った状態ではありません。mRNAを使ったワクチンも史上初となり人体への影響がわかるのはこれからだと思います。
2021年1月6日に米国疾病予防管理センターが発表したPfizerBioNTech COVID-19 vaccineにおける有効性は2回接種で95%、1回接種では52%となっており、副作用情報は189万人に接種し21例のアナフィラキシーが報告されています。
約9万人に1名です。
インフルエンザワクチンは100万人に1名強と言われています。
日本人全てがワクチンを接種した場合、1.26億人として1400人に副作用がある計算です。
2月9日の統計では新型コロナ感染者40.7万人、死亡6507名となっており、仮に全ての日本人がワクチン接種後だった場合、95%有効として感染者は2万人、死亡325名、副作用は1400名だった計算です。(現時点での計算なので今後の副作用情報によって数字は変わる可能性があります)副作用がインフルエンザの約10倍なのでこの辺りの改良も今後ワクチン普及には必要だと思います。
接種が世界的に始まったばかりなのでまだ何かしらの副作用がこれから数年かけて報告されると思われます。またこのワクチンはmRNA製剤であり品質維持にかなり厳密です。例えば、保存はマイナス80度以下、専用の冷蔵庫が必要で解凍後全てを使い切らなければならない等。接種は予約制になると思われます。
今後、新しい病原性に対しmRNAワクチンは遺伝子解析さえ終わっていればどの遺伝子配列部分の合成でワクチンとして使えるかの試験となるので、この技術の確立は大きな医療の進歩だと思います。ウイルス以外にもガンなど応用範囲が広く開発スピードも大幅に早まると期待できます。
公益社団法人 東京都臨床検査技師会
業務執行理事 副会長
杉岡 陽介
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