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ワクチンについて

“ワクチン(独: Vakzin、英: vaccine)は、感染症の予防に用いる医薬品。病原体から作られた無毒化あるいは弱毒化された抗原を投与することで、体内の病原体に対する抗体産生を促し、感染症に対する免疫を獲得する。”

(『ウィキペディア(Wikipedia)』より引用)


今まで予防接種をされたことが無い方はいないと思いますが、予防接種に使用する液体がワクチンです。一般的なワクチンは生ワクチン、不活化ワクチン、トキソイドが挙げられます。

では、なぜワクチンを打ったり、飲んだりすることで感染が予防できるのでしょうか?

抗原(ワクチン)を投与することで、体内の病原体に対する抗体産生(攻撃力)を促し、感染症に対する免疫(抵抗力)を獲得するからです。


免疫には生まれながらに持つ自然免疫と、獲得免疫の2種があり、獲得免疫にはさらに2種(T細胞性とB細胞性:ともにリンパ球)があります。

1,細胞性免疫:T細胞が中心でいわゆる白血球が異物そのものをやっつけてくれること。

2,液性免疫:B細胞が異物に反応し抗体をつくって異物の表面に結合し無毒化します。

つまり細胞性免疫は全体を破壊し、液性免疫は表面を覆い無力化するので、細胞性のほうが強力な免疫力を有します。


ワクチンに戻りますが、生ワクチンは細胞性と液性の両方、不活化ワクチンとトキソイドは液性免疫のみとなり、ワクチンの有効性も生ワクチンが強力です。

細菌は細胞表面にくっつき毒素を産生するため液性免疫でも有効ですが、ウイルスは細胞内に入り込み増殖するので、表面にのみ有効な液性免疫では細胞内に入り込む前のウイルスにのみ有効で細胞内増殖を始めたウイルスには役に立ちません。


インフルエンザワクチンは不活化ワクチンなので液性免疫のみとなり細胞内に入ったウイルスには無力なので、感染しないというよりも重症化を抑えることに重点が置かれています。新型コロナウイルス(ウイルス名:SARS-CoV-2、感染症名:COVID-19)では新しいウイルスなためまだ生ワクチンは研究段階であり、不活化ワクチンの製造も時間がかかっているのが現状です。そこで最新の遺伝子技術を応用したmRNA(メッセンジャーRNA)ワクチンが海外で承認されました。

※ mRNA:遺伝子配列の設計図の役割で、mRNAからの指示で細胞が作られています。


このワクチンの成分は、新型コロナウイルス遺伝子配列の中から表面(スパイク)遺伝子配列のみを持たせたmRNAで、これを筋肉に接種すると、筋肉細胞内でmRNAからの指示によって細胞表面に新型コロナと同じスパイクがある細胞が作られる、すなわち疑似的にウイルスに感染したような細胞が出来上がります。すると異物と認識され細胞性免疫が起動し、さらに液性免疫も発動することによって、新型コロナウイルス感染にそなえる免疫力を獲得する。といった原理です。厳密にはスパイクのみに対してなので新型コロナ感染者の体内で作られる免疫力と比べたら弱いものになると思います。


公益社団法人 東京都臨床検査技師会

業務執行理事 副会長

杉岡 陽介



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